選挙産業 2008 1 13

 日本の政治家も、日本企業も、
アメリカ大統領選挙で、誰が勝ち残るか、大いに関心があるでしょう。
 今の時点では(2008年1月13日当時)、その予想は、難しいと言えますが、
誰が最終勝利者になるか、それを計る目盛りがあります。
 それは、資金繰りです。
資金繰りに困る候補者は脱落していくでしょう。
 選挙戦の後半には、広告合戦(テレビ広告)があります。
テレビ広告というと、聞こえがよいですが、要するに、批判合戦(非難合戦)です。
しかも、数百億円の資金をつぎ込んで、テレビ広告を使って批判合戦を行うのです。
この時、軍資金がない候補者は終わりです。
 たとえば、A候補を攻撃するテレビ広告が流れた場合、
即座に反撃するテレビ広告を流す必要があります。
 これが、全米レベルで、本選挙まで続くのですから、
軍資金は、後半戦において、数百億円必要になると思います。
 そういうわけで、誰が最終勝利者になるかは、
その資金繰りを見ていれば、見当がつくと思います。
 こういう点は、企業経営に似ていると思います。
たとえば、薄型テレビで、あるいはゲーム機で、体力勝負になったら、
後は、どこまで資金繰りが続くか、それが勝負の分かれ目と言えるでしょう。
要するに、お金がなくなった者が脱落していくのです。
 この辺のことが、
「大統領はカネで買えるか? 5000億円米大統領選ビジネスの全貌」
(著者 堀田佳男 角川SSC新書)の、
「第5章 仁義なきテレビ広告戦争」に、もっとわかりやすく具体的に書かれています。
 つまり、大統領選挙の最終勝利者は、演説や政策を見ていなくても、
その資金繰りを見ていればわかると言えるかもしれません。
 そういうわけで、評論家の予想よりも、企業経営者の予想の方が当たると思います。
たいていの経営者は、いつも、資金繰りに苦労しているでしょう。
大統領選の候補者だって、資金繰りに苦労しているのです。
しかし、誰が当選しても、大統領選挙の最終勝利者は、テレビ局と言えるかもしれません。
 日本には、自動車産業という「巨大な産業」がありますが、
「アメリカには、選挙産業というものがある」(堀田氏)。
何しろ、5000億円大統領選ビジネス(宝の山)ですから。

洗脳 brainwashing 2005 10 27
 私が大学生の頃、ふとしたきっかけで、
テレビを使って、国民全体を洗脳する研究を知りました。
 もちろん、それには、前提条件があります。
新聞や本を読まない国民が多いという条件が必要です。
(新聞のテレビ欄や社会面しか読まない人は、読んでいることにはなりません)。
 同じ内容なのに、「文章で読む場合」と「映像で見る場合」では、
「読者や視聴者」の反応や判断が違ってしまうのです。
 文章の場合は、書かれた内容に対して、
自分なりの考えが出てきて、比較的、よく判断できるのですが、
映像の場合は、動画と音声に圧倒されてしまうのか、
無条件に受け入れてしまう人が多いのです。
 そういうわけで、テレビ局は、番組の編集にあたり、
「意見の対立している問題については、多角的に論点を明らかにすること」が必要です。
 このように書くと、政治のことかと思ってしまうでしょうが、
こうした問題は、いろいろな分野が該当しますので、十分、注意してください。
 たとえば、健康番組において、専門家と称する人が出てきて、
断定的に、「これが正しい」と述べているケースがありますが、
こうしたケースは、洗脳に近いのです。
 健康や医学の分野では、専門家の間で、意見が分かれていることが多いのです。
それを断定的に放送したら、洗脳と同じです。

放送法によって、放送番組の編集にあたり、留意すべきことがあります。
 一、公安および善良な風俗を害しないこと。
 二、政治的に公平であること。
 三、報道は、真実をまげないで行うこと。
 四、意見の対立している問題については、多角的に論点を明らかにすること。
 五、教養、教育、報道、娯楽の四種類の番組について、調和を保つこと。

表現の自由 freedom of expression 2003 11 20
 憲法によって保障される「表現の自由」には、「放送の自由」が含まれます。
しかし、この「放送の自由」には、
新聞や雑誌などの活字メディアにはない「特別な規制」があります。
 つまり、新聞や雑誌などの「表現の自由」より、
放送の「表現の自由」は、狭いと考えられます。
 このような特別な規制があるのは、なぜか。
 第一に、放送用電波は、有限であり、また公共性が高く、
特定の事業者に、電波の「排他的使用権」を認める制度となっていること(放送局の免許制)。
 第二に、放送は、直接、家庭に入り込み、動画や音声を伴う点で、
他のメディアにない「強烈な影響力」を及ぼすこと。
 第三に、テレビ番組は、スポンサーによって、時間単位で買われることになるので、
自由放任にすると、番組編成が、「大衆受け」をするような画一的なものになる恐れがあること。

「特別な規制」
(1)無線放送については、電波法によって、無線局の開設が、免許制によって規制されています。
(2)放送法によって、放送番組の編集にあたり、留意すべきことがあります。
 一、公安および善良な風俗を害しないこと。
 二、政治的に公平であること。
 三、報道は、真実をまげないで行うこと。
 四、意見の対立している問題については、多角的に論点を明らかにすること。
 五、教養、教育、報道、娯楽の四種類の番組について、調和を保つこと。

(参考文献)
「憲法」 芦部信喜(著) 岩波書店
 憲法の本は、名著が多いですが、
この本が一番、わかりやすく書かれていて、入門者向けだと思います。
一般の人が読む「憲法の本」として、最適だと思います。
憲法を学びたいと思ったら、この本から始めるとよいでしょう。

















































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